集中豪雨とゲリラ豪雨の違いをチェック!意味やメカニズムの差とは
2022年08月10日
皆さんこんにちは。横浜市民共済生活協同組合です。
全国各地で発生し、土砂崩れや河川の氾濫など甚大な被害をもたらす「集中豪雨」。
この集中豪雨と似た言葉で「ゲリラ豪雨」もありますが、皆さんは2つの違いをご存じですか?
今回は、集中豪雨とゲリラ豪雨の違いや、豪雨が発生した際に気をつけるべきポイントについてご紹介します。
目次
集中豪雨とゲリラ豪雨、まずは意味の違いから
「集中豪雨」と「ゲリラ豪雨」、どちらも土砂降りの雨をイメージするかと思います。
気象庁の天気予報などで用いる予報用語によると、集中豪雨とゲリラ豪雨はそれぞれ以下のような雨の状態を表します。
l 集中豪雨:同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨
l ゲリラ豪雨(局地的大雨):急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨
(気象庁ホームページより)
ちなみに「ゲリラ豪雨」はマスコミなどの報道機関が使う表現ですが、正式な予報用語ではありません。
気象庁では代わりに「局地的大雨」や「集中豪雨」などの用語を用います。
どちらも強い雨が降るという点では同じですが、集中豪雨の方がゲリラ豪雨と比べると下記のことがいえます。
- ・雨が降る時間が長い
- ・雨が降る範囲が広い
- ・総雨量が多い
では、集中豪雨とゲリラ豪雨はどのように発生するのか、次で詳しくご紹介します。
集中豪雨とゲリラ豪雨のメカニズムの違いをチェック
集中豪雨とゲリラ豪雨が発生する原因は同じ「積乱雲」ですが、その数によってどちらの雨になるかが変わります。
まずは積乱雲についてご紹介します。
積乱雲とはどんな雲?
積乱雲は、強い上昇気流によって鉛直方向(垂直方向)に著しく発達した雲のことで、大気の状態が不安定なときに発生しやすくなります。
「大気の状態が不安定」とは、地上の空気が暖かく、上空の空気が冷たいときのことを指します。
空気は、暖かいほど軽くなり、冷たいほど重くなります。
そのため、大気の状態が不安定なとき、地上の空気は上空に上がろうとし、反対に上空の空気は地上に下がろうとします。
この空気の層の入れ替わりの際に対流が起こり、積乱雲が発生しやすくなります。
大気の状態が不安定でさらに地上の湿度が高いと、地上の暖かく湿った空気が上昇し、上空の寒気によって冷やされます。
冷やされた空気中の水蒸気が凝結する時にできた熱で雲が膨張し、浮力で雲がより高く上昇することで、大きな積乱雲へと発達します。
積乱雲が上空の寒気に冷やされて大量の雨粒を作り、地上へ激しい雨を降らせます。
大都市では、建物の空調機器(冷房など)から排出される熱が大気中に放出される場合や、アスファルトなどの舗装された道路に反射した熱が上昇気流を作り出し、積乱雲が発生するケースもあります。
集中豪雨とゲリラ豪雨のメカニズムの違いとは?
ゲリラ豪雨は、単独の積乱雲が発達することによって局地的に激しい雨を降らせますが、積乱雲の寿命は1時間程度なので数十分で雨は止みます。
集中豪雨は、複数の積乱雲が組織化した「線状降水帯」が、数時間にわたりほぼ同じ場所を通過または停滞し、激しい雨を降らせます。
線状降水帯は、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の地域に強い降水をともなう雨域のことです。
線状降水帯が発生する原因の1つに「バックビルディング現象」があります。
バックビルディング現象とは、風上で発生した積乱雲が激しい雨を降らせながら風下に移動し、その後も風上で次々と積乱雲が発生する現象のこと。
これによって風下の地域では数時間にわたって大雨が降り続きます。
線状降水帯が発生する場所や時間は、現段階では予測が困難とされています。
そのため、梅雨や台風の時期は天気が良くても注意が必要です。
入道雲(積乱雲)は夏の風物詩ですが、見かけたら雨の可能性を考えて、次にご紹介する対策を取ってくださいね。
集中豪雨やゲリラ豪雨が発生したら、どう気をつければ良い?
集中豪雨やゲリラ豪雨が発生した場合、どんなことに気をつければ良いのでしょうか?
ここでは豪雨発生時だけでなく、日頃から大雨に備えておくべきポイントをご紹介します。
最新の気象情報を入手する
まずは大雨の予報が出ていないか、最新の天気予報をチェックしましょう。
天気予報で「大気の状態が不安定」「天気の急変」「1時間に50㎜以上の非常に激しい雨が降る」「過去数年間で最も土砂災害が発生する危険性が高くなっている」などの表現があるときは特に注意が必要です。
大雨・洪水の警報が発表されたら避難の準備を始めましょう。
危険だと思ったらすぐに避難する
「雷鳴が聞こえる」「真っ黒な雲が近づく」「急に冷たい風が吹いてくる」といった気象現象は、発達した積乱雲が近づいている証拠です。
雷を伴った激しい雨が降り、短時間で急激な河川の増水・浸水、土砂災害の危険性が高まります。
「避難指示が出ていないから大丈夫」と思わず、避難に時間がかかる場合や川沿い・地下施設などの危険な場所にいるときは、早めに避難しましょう。
避難する際は、河川や用水路、急な山の斜面、アンダーパス(立体的に交差した、鉄道や道路の下を通る掘り下げ式の地下道)には近づかないようにしてください。
避難時の服装は動きやすい服装を心がけ、防水加工された服や上下が分かれたレインコート、滑り止めがある軍手や手袋、落下物から頭部を保護するヘルメットなどを身に着けましょう。
長靴は、中に水が入って脱げやすく動きにくくなるので避けた方が良いでしょう。
履き慣れた紐靴や運動靴、登山靴(トレッキングシューズ)などといった底の厚い靴が安全です。
非常時の持ち物はリュックに入れて、両手が空いて身軽に動けるようにしましょう。
災害を想定して日頃から準備をする
災害時に持ち出す荷物は日頃から準備しておきましょう。
食品などは賞味期限をチェックして定期的に入れ替えることを忘れずに。
家の周りの側溝などに落ち葉やゴミが溜まっていると、大雨のときにあふれる危険性があります。
水が通る箇所は日頃から掃除を心がけましょう。
自治体の発行するハザードマップで、自分の住む地域は土砂崩れや洪水が起きやすい地域なのか、安全に避難できる経路はどこなのかを確認しておくと安心です。
また、過去に災害が起きていないか、災害が起こったときはどれほどの降水量だったのかなど、地域の「災害史」を学ぶことも大切ですよ。
横浜市民共済は横浜市の関係団体として、横浜市危機管理室が公開している「いま」から「いざ」に備える「横浜市避難ナビ」をご紹介しています。
組合員の皆様の安全を守るためのアプリとして、是非ともご活用下さい。
【横浜市避難ナビについて】
横浜市では、ファーストメディア株式会社および学校法人神奈川歯科大学と3者協定を締結し、システム構築やAR技術、マイ・タイムライン作成のノウハウ等を集結したプロジェクトを進め、令和4年3月に「横浜市避難ナビ」を公開しました。
「横浜市避難ナビ」アプリでは、一人ひとりの避難行動計画であるマイ・タイムラインの作成を支援する機能や、「避難所検索」機能、「ARによる浸水状況の疑似体験」機能等があります。災害時には避難情報のプッシュ通知を受信する機能も備えています。
集中豪雨・ゲリラ豪雨の違いを知り、災害に備えた準備をしよう
集中豪雨とゲリラ豪雨(局地的大雨)の違いは「雨が降る時間・範囲・総雨量」で、集中豪雨の方がゲリラ豪雨より長く広い範囲で激しい雨が降ります。
集中豪雨とゲリラ豪雨が起こる原因は、どちらも同じ積乱雲です。
ゲリラ豪雨は単独の積乱雲によるものですが、集中豪雨は同じような場所で次々と積乱雲が発生することで長時間の雨を降らせます。
集中豪雨やゲリラ豪雨は、全国各地で発生する可能性があります。
日頃から災害に備えた準備をして、最新の気象情報を入手し、危険だと思ったらすぐに避難するようにしましょう。
気象庁のホームページには、災害から身を守るためのあらゆる情報が掲載されています。
気になる方は是非閲覧してみてください。
万が一の場合に保障を受けられるよう備えておくことも安心につながります。
「横浜市民共済」の火災共済では「風水害等見舞金」という制度があります。
これは、台風や豪雨などの自然災害によって、共済の目的の建物や家財が20万円以上の損害を受けた場合(雨漏りまたは修繕等が必要なものを放置していた場合を除く)に、契約口数と損害の程度に応じて10万円を限度に支払われる制度です。
「風水害等見舞金」制度は、追加の掛金をいただかない、家計にやさしい制度です。