火災時の安全な逃げ方とは?身を守るための方法や注意点
2020年12月17日
皆さんこんにちは。横浜市民共済生活協同組合です。
突然ですが、火災で犠牲となった人の約半数は「逃げ遅れ」が原因だったことをご存知ですか?
火災発生から逃げるために使える時間は短く、例えば住宅火災では3~5分とごくわずかです。
その間に冷静に判断をして、安全に避難をしなければなりません。
火災から命を守るためには、予め安全に逃げる方法を知っておくことがとても大切です。
今回は火災発生時の正しい逃げ方、逃げるときの注意点、火災に対する事前の備えなどについてお伝えします。
火災発生時の正しい逃げ方は?煙にも注意!
もしも火災が発生したら「火事だー!」と大声を上げて周囲の人に知らせましょう。
声が出なければ、物を叩いたりして大きな音を出すことも効果的です。
安全な避難経路が確保できていれば、119番通報や初期消火を行いますが、そうでなければ直ちに避難!が鉄則です。
住宅火災では火災発生から逃げるために使える時間は3~5分ほどなので、とにかく早く逃げることが大切。
玄関から逃げるのが一番安全ですが、2〜3階にいて階段が使えない場合は、避難用のロープや雨どいなどを伝って降りましょう。
ロープがない場合は、シーツやカーテンを結んでロープの代用にすることもできます。
マンションの場合は、非常階段や避難ハッチ・避難はしごの位置も確認しておきましょう。
下へ逃げるのが鉄則ですが、防火対策のある高層マンションで下階へ逃げるのが難しい場合は、屋上で救助を待つという方法もあります。
逃げ方のポイントは「早く逃げ始める」「煙を吸わない」「絶対に戻らない」ことです。
①早く逃げ始める
「火事だ!」の声が聞こえたり、火災警報器が鳴ったら、建物内のどこかで火災が発生しています。
火災の煙や炎はわずか数分で建物内に広がることもあります。
建物内が非常に危険な状態になる前に、屋外に避難することが大切です。
落ち着いて、炎の有無や煙の流れてくる向きなどから火元の方向を確認して、安全な避難経路はどこかを判断した上で、直ちに避難行動を開始しましょう。
命を守ることを最優先に、荷物は何も持たず、鼻や口を覆うタオルやハンカチだけを持って逃げます。
②煙を吸わない
火災で最も恐ろしいのは、炎よりも煙です。
火災の煙は一酸化炭素などの有毒ガスを多量に含むので、煙を吸い込むことで中毒を起こします。
気絶してしまい、最悪の場合は死に至ることも。
火災初期の火がくすぶっている状態からは「白い煙」が発生します。
薄い煙に見えますが、既に有毒ガスを含んでいる場合もあるので危険です。
既に炎を上げて燃えているときには、一酸化炭素などの有毒ガスを多く含み、酸素の含有量が少ない「黒い煙」が発生します。
黒い煙は温度が高く、天井の方から溜まっていくので、初めのうちは天井近くの煙層と床近くの空気層に分かれます。
避難口が見えていて出口まで短い距離であれば、息を止めて駆け抜けてください。
出口まである程度の距離がある場合は、煙を吸わないよう口と鼻をタオルやハンカチでおさえ、姿勢を低くして床近くの空気を吸いながら床を這うように逃げましょう。
火元の部屋から避難するときは、部屋の窓やドアを閉めて逃げるのも忘れずに。
火災への空気の供給を遮断し、周辺への延焼と煙の拡散を遅らせて、逃げるための時間を確保するためです。
③逃げたら絶対に戻らない
火災の現場から脱出したら、絶対に戻らないようにしましょう。
無事に避難した後に戻り、火災の犠牲になる人は少なくありません。
逃げ遅れた人がいたら、そのことを消防隊に伝え、消防隊による救助を待ちましょう。
住宅以外の火災発生時の逃げ方も知っておこう
火災は家だけでなく、外出時にも起こる可能性はあります。
いざというときに焦らないように、事前に知っておきましょう。
地下街
パニックに巻き込まれるのが最も危険です。まずは落ち着きましょう。
地下街では、地上への出口が60mごとに設置されています。
館内放送や係員の指示、誘導灯に従って避難しましょう。
視界が悪いときは、姿勢を低くして壁に沿って歩くと出口を見つけやすいです。
ビル
煙は毎秒3~5mの速さで上に昇っていきます。
上昇する煙に巻かれてしまう危険を避けるため、下に向かって逃げるのが基本です。
エレベーターは途中で止まってしまう恐れがあるので使用せず、階段で降りましょう。
下の階での火災の場合、内階段が煙突の役割を果たして煙が充満することがあるので、外階段で逃げましょう。
万が一下に降りられない場合は外階段で屋上に上り、風上側で救助を待ちます。
火災が発生時の逃げ方における注意点も確認!
火災からの逃げ方で、さらに注意したい点についてご説明します。
部屋のドアは外の様子を探ってから開ける
火災時は、部屋の外が既に熱くて有害な煙が充満していることも。
いきなりドアを開けると煙を部屋に呼び込んでしまい危険です。
ドアを開ける前に、ドアノブを手の甲でそっと触ってみて温度を確認しましょう。
手のひらで触って万が一にもやけどをしたりすると、その後の避難の大きな妨げとなるので、手の甲で触るというのがポイントです。
ドアノブが熱かったら、ドアの外はかなりの高温。外に出るのは危険です。
1~2階なら窓やベランダから避難し、3階以上で窓からの避難が困難な場合は部屋に留まり、窓の近くやベランダで救助を待ちます。
部屋で救助を待つ場合、煙が入ってこないように、ドアの隙間や鍵穴にティッシュを詰めたりテープを張ったりして目張りをしましょう。
2階のベランダや窓から逃げるときはぶら下がる
階段に煙が充満していて1階への避難が困難で、2階の窓やベランダから逃げざるを得ないときがあります。
ロープなどあれば安心ですが、ない場合は窓やベランダを乗り越えて飛び降りるのではなく、まず窓やベランダにぶら下がり、それから手を離して地上に飛び降りましょう。
ぶら下がることで落下距離を2~3m縮めることができるので、脱出時のケガのリスクが下がります。
部屋で救助を待つ、2階から飛び降りて避難するなどは最終手段です。
素早く行動し、1階から安全に地上へ出ることを心掛けましょう。
避難の際、タオルやハンカチは濡らさなくてOK
口や鼻を覆うタオルやハンカチは、乾いたままでも十分に煙除けになるので、濡らさなくてOKです。
濡らすと、かえって煙の粒子が引っかかって目詰まりを起こし、タオルやハンカチ越しの呼吸を妨げることがあります。
目詰まりを起こしたタオルを口・鼻から離して呼吸をすると、有害な煙を直接吸い込んでしまい危険です。
濡らすための水を探しているうちに避難が遅れることも考えられます。
避難する際もしも手元にタオルやハンカチがなかったら、衣服の袖などでかまわないので、何かしらの布で鼻と口を覆いましょう。
火災警報器の警報音が聞こえたらすぐ避難を
過去に正しく火災警報器が作動していても、誤報や訓練だと思ったことで逃げ遅れ、火災の犠牲になってしまった事例もあります。
警報音が鳴ったら、迷わず避難行動をすることが大切です。
火災が初期の場合の消火方法や準備しておくと良いこと
初期消火の方法や避難経路の確認方法、防災グッズなどの情報も知り、火事の被害を最小限に抑えましょう。
火災の初期の消火方法は?
出火直後であれば、初期消火が可能なこともあります。
消火器を使う場合は、ノズルを火元に向けて薬剤が炎の下の方にかかるように操作します。
火は空気の供給が止まると消えるので、座布団で火を叩く、濡らした毛布などで火元を覆うなどして消火することもできます。
ただし、初期消火は火災の炎が天井まで届かないくらいが限界です。時間にしてわずか1~2分です。
それ以上は危険ですから、消火は諦めて避難します。
避難経路の確認方法とは
避難経路は、距離・曲がり角の数・段差の有無などをポイントにして、最低でも2経路を確認しましょう。
火災発生時にひとつの避難経路が使えなくても、別の避難経路から逃げられるようにするためです。
特に勝手がよく分からない宿泊先では、必ず避難経路を確認しておきましょう。
防災グッズなど事前に備えておくと良いこと
事前に備えておくことで火災の被害を最小限に抑えることができます。
住宅用火災警報器の設置
2006年から住宅に住宅用火災警報器を設置することが義務付けられました。
住宅用火災警報器は火災の煙や熱を感知して警報を鳴らします。
必ず設置があるか確認しておきましょう。
一般的に住宅に多く使われているのは煙を感知するタイプで、火災のごく初期の段階の煙を感知して、火災をいち早く知らせてくれます。
消火器
いざというときに消火器は優れた消火能力を発揮します。
家庭でも各階に1本あると安心です。
使用期限(業務用消火器10年、住宅用消火器5年)があるので、期限が切れたものは新しいものに交換しましょう。
火災共済・火災保険
火災共済や火災保険に加入していると、万が一被災したときに金銭的負担を軽減することができます。
神奈川県にお住まい・お勤めの方のための火災共済「横浜市民共済の火災共済」でも、共済金や見舞金の支払いにより、火災による損害を手厚く保障しています。
火災が発生したら、正しい逃げ方で避難して、大切な命を守ろう!
火災発生時の逃げ方のポイントは「早く逃げ始める」「煙を吸わない」「絶対に戻らない」ことです。
初期消火は大切ですが、炎が天井に達したら消火を諦めて早く逃げましょう。
煙には一酸化炭素などの有毒ガスが多く含まれています。
煙の中を避難する際は、煙を吸わないようにタオル等で口と鼻を抑え、姿勢を低くして這うように移動しましょう。
無事に火災から脱出したら、絶対に戻ってはいけません。
初期消火の方法を知っていたり、避難経路の確認が習慣づいていたり、住宅用火災警報器を設置や消火器を備えたりすると、万が一の際にも落ち着いて行動することができるでしょう。